『鏡のお城のミミ』用語/私的補足・ベアトリスのこと
2004.07.12作成
2004.07.17追加
- マルグリット公国の第一公女、ですが、下に母親の違う妹が4人もいます。
上から順にアニェス、コレット、ジェーン、キティ…ちゃんと出てきたのはアニェスとコレットだけですが、彼女らは現大公妃のリリアナの娘、ベアトリスは前大公妃ヒルデガルドの娘。
で、ベアトリスと第二公女のアニェスはそれほど年齢差がないように思われます(誕生日とか出てこないから詳しい差はわかりませんが、1〜2歳差くらいか)。
それはつまり、前大公妃のすぐ後に現大公妃が立てられたということになりますね。
ヒルデガルド妃が亡くなっているのか政治的に地位を追われたのかまではわかりませんが、どちらにせよ、幼い頃のベアトリスの立場はかなり不安定なものであったと思われます。
それゆえに、4歳の時点で3歳児のエリックに「つよくなればころされないよ」などというセリフがさらっと出てくるんでしょうかね。
- で、母親違いの妹たちのことはそれはもう溺愛してるようですが(思えば端々に見られるベアトリスの”かわいいもの好き”は、この妹たちがいるゆえなんでしょうかね。単にそういうものへの憧れとか保護欲とも取れるけど)、継母であるリリアナ妃はどちらかというと野心家みたいです。
そういうわけでベアトリスは、自らの地歩を固めるために、剣の腕を磨き戦場へ身を投じる女性になったわけですが。
あのセルジュに”放っておいても悪魔のように強い女性”とか言われるくらいだから、もう鬼のように強い。
セルジュがベアトリスと対戦すると聞いたエリックが一瞬言葉出なかったくらいですし。
セルジュでもそんなくらい(勝てるか勝てないかと言ったら、相手が女性だから本気を出せないというところを差し引いてもどうなんだろうというくらい)だから、他国から狙われてるわりにのんびりムードのカンタン王国で育って初陣すら経験してないエリックなら、そりゃ敵うはずもないか(ある意味、そういう環境を差し引けばエリック強いよな、わりと)。
しかしベアトリスってまだ18歳なんですよね…いつから軍に入っていつから将軍になったんだろう?
というか、18歳ですよ、一般的にはまだ”少女”じゃないんですか!?
よく考えたら、この”大人の女”っぷりは凄い。
そりゃエリック負けるわ(だからエリックをいちいち引き合いに出すなと)。
- まあ敢えて、元婚約者のエリックとの関係に触れておきましょうか。
どういう経緯でいつから婚約者だったのかは知りませんが、お互いかなりの仲良しと言ってよいでしょう。
何と言っても幼なじみで婚約者とくれば、恋愛物の王道ですよそれは(”幼なじみエンサイクロペディア”を検索して読んでみると結構おもしろいですよ、と言ってみる)。
暮らす国は違えど行き来も盛んだったようだし、通路探検とか、北の塔の隠し部屋だとか、二人が共有する思い出ってのは、今となってはちょっと苦いけれどほの甘い、ようなものを期待したくもなりますって。
恋心というとまた違うような、少なくともそれぞれが今の想い人に感じている気持ちとは全然違う感情でしょうけれど、通じ合ってる仲だったのかなーなんて。
そういうわけで、「国と国の結びつきに、人の心は関係ないものだよ」という1巻のセリフが印象深いです。
あ、エリックが婚約破棄のお願いに行ったときの…”はじめてベアトリスがエリックに触れた”ってのは、何を指すんでしょうねえ。
剣の稽古をしたり城の探検をしたり酒盛りをしたり、そういう間柄で文字通りに物理的にまったく触れたことがないというのは考えにくいですから、何かの隠喩なんでしょうけど。
ま、これは解釈は出来ても結論が出せない問題だからさておくとして。
強いて言えば…エリックが1巻でミミに手を出そうとしてひっぱたかれたのをからかって、”初物の味”と言ってるから、キスとかはしたことないと思っていいのかな。
いや、ベアトリスがあの状況をどれほど正確に推察出来ているかにもよりますが。
- で、お待たせしました現婚約者のフィディル君との仲は。
とりあえず趣味の合致をみたようで、出会って即ラブラブですよねえ。
エリックからみたら羨ましいことこの上なかろうけど(しかしはっきり言わないでずるずると友だち関係引き延ばしたのは自分のせいだからそれに関しては同情はしない)。
ま、それでラブラブな二人なんですが、大人の女だけに、いろいろ思うこともあるようで…醜いところは隠しておきたい、というのは、ある意味女らしいというか、彼女にしては珍しく気弱な部分ですね。
本質的には強い女性ですけれど、傷つかないわけではない、その痛みを理解して支えてあげられるのがフィディルなんでしょうね。
思えば1巻の舞踏会で王が人質に取られた際、ベアトリスは剣を捨てません。
同じく捨てなかったエリックの気持ちの方はわかりませんけど…ベアトリスに関しては、5巻で言ってるみたいに、そういう女だから、なんでしょうか。
勝利のために、人の命を犠牲にしてしまえると。
確かにそこでセルジュが王を殺してしまえば、人質がいなくなり場を収拾するのに支障がなくなる。
…ま、この場面はそこまで単純な局面ではないため(例えば王がここで亡くなると、フィディルはまだ若いし、誰が王になるかってことで混乱するだろう。セルジュを捕まえること=勝利ではないため)、この解釈は決して正しくはないのですが、そういう命の取引には応じないという意味では、必要なら誰の命でも見捨てるという意味では、同じことを指しているのかも。
…本当に、フィディルに何かないことを祈ってます。
本当にフィディルのことを見捨てるかどうかはわからないけど…逆に、フィディルをかばってベアトリスに何かあっても困るし。
ベアトリスとフィディル、この二人に関してはどっちもいつ何があってもおかしくない立場ですけど、それでも、この二人にだけは何もないように願うばかりです。
まあこの二人はどちらも強いから、お互いのためを思えばそう簡単に命を捨てるような真似はしないだろうと思いますけどね、二人の幸せのために、頑張って生き抜いてください。
- と、最後に全くの余談を。
私は言語学にそれほど詳しくはないので、全部わかるわけではないのですが、カンタンやマルグリットの地名とか名前は主にフランス語らしいと聞きました(読書感想を書いてらっしゃるサイトを探すと出てくると思います)。
ですが、下の方の妹、ジェーンやキティって英語っぽくないですかね?キティだとキャサリンとか…フランス語的にはむしろカトリーヌくらいが妥当のような。いや、ひょっとしたらフランス語でもキティで通るのかもしれないけど(ちなみに彼女らもリリアナ妃の娘なんでしょうか、大公に愛人がいるわけでもなければ当然そうでしょうけど)。
さらには…ベアトリスの母のヒルデガルド、というのは、どことなくゲルマン系の名前のような気がします。
そもそもフランス語はhの発音はないとされているので(HermesがエルメスだったりHerculesがエルキュールだったりするようなもの)、マルグリット(及びカンタン)がフランス語的言語圏だとすると、ベアトリスの母は異国人もしくは異国系の人間である可能性があるということでしょうか。
それともマルグリットが、大国だけに多国籍国家で他国風の名前も当たり前なんでしょうか。
しかし、ゲルマン系の名前となるとクロティルドっぽくもあるわけで、実はクロティルド王家の人間ではあるまいな…というのは流石に深読みしすぎでも(大公と国王で自分とこの身内を嫁にして仲良くしようとした可能性もないとは言えないがそれならベアトリスの立場はもっと複雑になるし、血が濃すぎる従弟との婚約は最初から避けるかも)、クロティルド系の人だとしたら、それが元で前大公妃がどうこうされた可能性もあるんでしょうか。
いや、ここまで勘ぐらなくても、素直に早くに亡くなったんだなとか思えばいいんでしょうけど、ベアトリスがあまりに頑強な女性なので、病弱な母ってのが想像できなくて、今母がいないらしいのには何か訳でもあるのかなと。
…本当に、どういう人だったんでしょうねえ…。
ついでに父親の大公を想像してみると…エリックの話聞いてるといい人っぽいけど、カンタン国王の例があるから信じて良いものかどうか。
でもきっと娘に甘いんだろうなあとか、想像してみたりして。
- ここから追加分です。現在7巻発売後です。自分の読みの甘さを軌道修正。
ベアトリスの母、ヒルデガルド妃。
神聖帝国系の人だったんですね(元々公国は神聖帝国から派生してるんだし、クロティルドとの関係を疑うよりむしろ自然か)。
また、ヒルデガルド妃とリリアナ妃が姉妹だったとは(よく考えるとリリアナという名も、調べてなかったけどゲルマン系言語の名前なんでしょうか)。
おまけにヒルデガルド妃の死因、病弱ってこともあるまいとか思ってたら、自殺…激しい方だったんですね。
と、驚き続きのベアトリスの家庭の事情でした。
カンタン王位を継がなくなったエリックがベアトリスとの婚約を破棄したのも、マクシムがヴィジュエ州総督よりカンタンの王太子の方が利用価値があるということを言ったのも、つまりはベアトリスの、自分の力で母親の元領地を取り返すという目標があってこそだったんですね(これ、侵略戦争起こすつもりなのか?単にマルグリット大公として所有権を神聖帝国に主張するつもりなのか?)。
ま、フィディルのことは、力を利用とか何とかじゃなくて、もう結婚する気満々ですけれども。
頑張って欲しいです、フィディルもかなり力ついてきたことだし(油断は禁物ですが)。